新10 1-
12:品川くじら < 8/30 2:57
邪神の復活びん(10)<<夏休み子供大会>>
その日の夕方、チクたんは仕事の帰り道で、れんタンに出会いました。
「あ、れんタン、知ってる?今、街で忍者みたいな変質者が出て女の子を襲ってるんだよ。怖いねぇ。」
「忍者みたいな?」怪訝な顔で尋ね返す、れんタン。
「出入りした形跡の無い密室で事件が起きたんだってさ。犯人が空気みたいに消えちゃったって事。」
「・・・その密室には水が出入りする所はあるの?」
「・・なんでも学校のシャワー室だっていうから、水には関係があると思うよ。」
「それだわ・・・」れんタンが何か気付いたようです。
「えっ?れんタン、何か知ってるの?」
そこでれんタンは、自分の知っている事件の一部始終と邪神の存在を、チクたんに話しました。
「水の属性を持った邪神ねぇ・・・きっと、そいつの体の大半は水分で構成されてるんだよ・・・
犯人がそいつだとしたら、水道や配水管を自由に移動できるわけだから、密室から消えるのも可能だよねぇ。」
オバケとかが苦手なチクたんは、不安げな表情で推理します。
「水の属性を持った相手の弱点は何かしら?」
「う〜ん、水、水・・・閃いた!高熱で蒸発させるか、凍結させればいいんじゃない?」
「なるほど、ありがとう、チクたん。」と言い残すと、れんタンは足早にどこかへ歩み去りました。
残されたチクたんは、水に関連する総ての場所に邪神が潜んでいそうな気がして恐ろしくなり、水溜り
さえも避けながら家路を急ぐのでした。
その晩、れんタンの実家のお寺に、街の偉い人たちが集められ、和尚さんから邪神の復活についての説明
を受け、対策会議が行われる事になりました。
偉い人達は口々に和尚さんの管理不行き届きを責め、和尚さんは平謝り。
でも元々は若者の肝試しが原因だったのだから、酷い話よね。
とにかく邪神を元の洞窟に閉じ込めるのが一番だという事になって、その方法を皆で考えましたが、
中々いい方法が出てきません。
(11)へ続く

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